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永沢まことさん

これまで生きてきていろんな先生に出会った
最も記憶に残る先生は永沢まことさん
悲しいお知らせが届いたのは1月9日

2006年夫の転勤のため岡山より上京
突然の転居、0歳の息子と2歳になったばかりの娘、幼い我が子二人をつれ、
知り合いのいない土地へ行くのは不安だらけだった
一旦東京行きをお断りし、単身赴任をすすめてみるも
幼子と離れて暮らすのが耐えられないと、願い叶わず向かった先、東京
そんなわたしにとって唯一の希望が永沢先生だったのだ
ペンスケッチに導いてくれた高原泉さんのおかげで
どこの馬の骨ともわからないわたしが
永沢クラスに入ることができた
先生のまわりは(他の生徒の方)良い方たちばかりで
慣れない東京という街が、とても優しい場所に感じられた
絵を描くという共通項があったおかげで、違和感なく仲間に入れた
と、思っている
今振り返ると先生の優しい人柄がそういう雰囲気を作り
老若男女を問わず、優しい人たちが集まったのだと

数十年ぶりにヒトからものを教えてもらうという機会にウキウキし
美大や専門学校に通う勇気のなかったわたしにとって
目から鱗なほど新鮮かつ、暖かく、何より真剣勝負だった
自分が絵を描くことが何よりも好きなんだと気づき、
先生がいうところの

「絵を描きたくて、たまらない気持ち」になった者は、へんな譬えですが
サカリのついた猫のよう

なもので

猫になって描きまくった

先生には、描き方を教わるというより
長い目で見た、プロとして絵を描くまでのプロセスを導いてもらったように思う
教室後のアフタートーク、先生のお誕生日会、永沢邸での講評会
残念ながら海外スケッチツアーには1度も参加できなかった
子育て中だったことを理由にはしたくないが実際そうだったから仕方ない
先生からこぼれ出てくる言葉を聞くのが、楽しみだった
優しくて、ユーモアがあった
印象に残っているのは
「バッターボックスに立って塁に出た以上は、どうにかしてでもホームベースに帰ってこなきゃいけないんだよね」
つまり、描き始めた以上は、責任を持ってなんとしてでも描きあげること
と受け取った
先生は時折真剣な表情で厳しく諭した

メール、SNSでのやり取りが主流なご時世、お手紙を出すのが楽しみな唯一の人で
個展開催の折には
事細かにアドバイスをいただき、本当に気にかけてもらった
先生はとにかく多忙だったと思う
慕う生徒さんは日本全国に止まらず世界中にいるんじゃないかと
それぞれの個展には必ず顔を出し、一人一人目を配られていた
ペンスケッチ教室の講師を始めると、生徒さん一人一人への講評を、
読みやすく、親しみのある手書きの文字で手紙をくれた
生徒さんにとっても、大変励みとなり嬉しかったと思う
わたしも嬉しかった
広報たまちいきの連載終了時は
よくがんばったね、本当にすごいよと、自信を持つよう心からのエールをいただいた

わたしはあまりほめられた記憶がなかったなぁ
と思っていた
ほめられ好きなわたしは、先生にほめてほしいあまり
先生のアドバイスを真摯に受け止め、丁寧に、そして猛烈に描いた
きょう、改めて先生のお手紙を読み返すとたくさん褒めてくれてる
最初に褒めて、その後でちゃんとアドバイスをし課題を与えてくれる
永沢流の言葉選びに今更、泣けてくる

数年前、娘がお世話になった塾の先生が心筋梗塞で突然逝去された
とてもショックで泣き通しだった
色々あって、お礼を伝える機会が伸び伸びとなり
またお会いした時に、と、結局伝えられないままのお別れであまりにも辛い経験だった
そして一番に永沢先生にこれまでのことについて感謝の気持ちを手紙に認めた
だからなのか、ふと寂しくなるが、ひどく落ち込んだりすることはない
先生のことだから、それなりに身辺整理もされていたのではと想像する
ちゃんと伝えておいて、本当によかった

わたしの勝手なわがままでいえば
仮囲いアートを見てもらいたかった
完成後に制作中の写真を送るつもりだった
のんびりしすぎた
生前、キャンバスを使ってアクリルで描いていることを伝えると
「それは、いいね、すごくいいよ」と

人は2度死ぬ
1度目は最初の死
2度目は忘れ去られた時
先生はたくさんの人たちの心の中でこれからも生き続け忙しいことだろう
寂しさは残るが、先生の笑顔、先生の言葉、先生と描いたこと
全部が記憶として永遠にのこる
これから先も先生の生き様から生き方を学べるだろうし
みんながそうできるよう、先生はたくさん残してくれた

わたしが今のところ影響を受けた2冊

『絵を描きたいあなたへ』  講談社

線にこだわり、線で表現する手段、線の魅力について研究し尽くした永沢まことさんが
テクニックだけではない表現者としてのあり方について自分自身と向き合い
苦しくも、愉快に、赤裸々に語る
表現者として迷った時に、『絵を描く』って楽しいよと導いてくれる1冊

ノンフィクション・ニューヨーク 草思社

ニューヨークスケッチ画集かと思いきや
ニューヨークの当時の様子をスケッチと共に生々しく伝える
街の現状、街が抱える社会問題に触れながら、歯に絹着せぬ表現で
日本人について鋭く斬り込む
日本人と外国人の違いについては、痛快で楽しい
自虐ネタかと思いきやそういうわけではなく
当時の先生が冷静かつ客観的にみて、肌で感じたことをまんま書いてあるだけのことだ
今の時代にも通じるものがあるから、ぜひ多くの方に手にとってほしい
切り替えができて、ストンと腑に落ち、何より「まぁ、いっか」と元気になる
何度読み返してもいい

これからの絵描きとしてのあり方について考えようと思う
屋外の仮囲いに作品を制作した際
絵を描くという行為が世代を問わず見知らぬ人たちとの交流のきっかけとなった
「だいぶ出来上がってきたね」と、写真を撮ってくれる
絵は人と人とを繋ぐコミュニケーションツールであることを改めて体感した
2013年から1面のイラストマップを連載させていただいた「広報たまちいき」もそうだ
多摩歩ききっかけで多くの方と、交流できたし
これからもその交流は続くと思う
人の心や地域に寄り添えるような作品づくり、
そして自分自身と向き合い、線で表現していく
何事にも挑戦

まだまだこれから

永沢イズムは、未来永劫
先生の優しい笑顔は、忘れないし
もう少し先生の背中を見ていたかった
先生が90歳を超えて描く作品を見たかった

花をスケッチするならと永沢先生おすすめのアリストロメリア

 

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