新宿、花園神社境内に突如現れた紅いテント
そこは、エンターテイメントを楽しめる異空間、劇場だった
座長の唐十郎が主宰する
唐組・第68回公演「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」
まさに神出鬼没
あまりにもありきたりな様子で、神社の中にすっぽり溶け込んでいた
生憎のおかしな天気、
急な大雨でずぶ濡れにもならず、合間をくぐり抜け現地へ
肌寒さを感じる中、雨でしっとりした木々の新緑と紅色がちょうど良かった
前売り券はブラックの2
前から2番目に入場ということだった
劇団員の人が、腹から出す野太い声で整理券順に列を作っていく
「黒の1番から○番のチケットをお持ちのお客様は手をあげているところに順番にお並びください」
といったふうに
なんとも奇妙な案内
小学生の頃、運動会、遠足などお決まりの行事で整列させられた時に似ている
とはいえ、強制的な印象はなく
一体何が起きるのかワクワクする気持ちがさらに盛り上がる
テントの中には、椅子なんてものはなく
長板の上に一人分の席として、小さくカットされたレジャーシートが置かれ
早く入場した人から好きな席を選べる
劇場へコーディネートしていただいた方より
前列はつばきが飛んできます、ということで4列目真ん中あたりに着席
持参した座布団を尻に敷きどっかり地べたに収まる
板1枚だけの高さは、なかなか体制が窮屈なものとなり
足も腰も痛い中
浴室マットを小さくカットしたものを5、6枚ほど重ねた自前の椅子に鎮座する手練れがいた
次回観劇の機会があれば、絶対自作して持参したい
公演は本当に素晴らしく
泣けるほどよかった、スタンディングオベーションしたいくらいだった
足の痛さも、腰の痛さも吹っ飛んだ
笑えるところが随所にあって単純に楽しめ、
気がついたら、現実から切り離され
一体自分がどこに居るのだろう
わからなくなる感じでふわふわした
公演中舞台のあるテントの隙間から、境内の緑がチラチラと垣間見えた
とにかくいい時間を過ごした
境内を出たら、すぐ隣は新宿ゴールデン街
急な場面展開にまたワクワクする
この世は、なかなか面白いモンだなぁ
まだまだ未経験なことがたくさんあるから
しあわせだ